曽我昌史のHPへようこそ

わたしたちは、人と自然の共生や持続的な生物多様性保全に関する基礎・応用・戦略的研究を行っています。「生態学者」としてのバックグラウンドを活かしつつも、狭義の生態学に留まらず、科学領域の壁を超えた分野融合研究を進め、保全生態学に新しい視点をもたらすことを目指しています。サイエンスとして面白いだけではなく、生物多様性保全の推進に本質的に寄与するために、日々頭を捻って奮闘しています。

生態学に軸足を置いて、その他周辺領域の視点・手法と組み合わせ、持続的な生態系保全の課題解決に本気で取り組みたい方、「人と自然のインターフェース(境界域)」に興味のある方、ぜひご連絡ください。生態学が専門ではなくても当該テーマに興味をお持ちの方も、お気軽にご連絡ください。


News

2024/04/09: 令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞しました(リンク)。

2024/03/25: 研究室の大学院生の伊達政里さんがリードして書いた昆虫類が提供する送粉サービスに対する人々の認識(国際比較調査)に関する論文がBiological Conservation誌から公表されました(リンク)。 送粉サービスに対する認識は国間(残念ながら日本は最下位...)および生物分類群間(地味な虫は過小評価されている)で異なることが分かりました。

2024/03/25: 千葉大の深野祐也さんがリードして書かれた人のこころと緑の関係に関する論文がPeople and Nature誌から公表されました(リンク)。 「なぜ、我々は緑を見ると癒される(緑が無いと病む)のか?」という大きな学術的問いに答えるための新しい仮説(Greenery hypothesis:緑仮説)を提案しました。

2024/02/13: 研究室の大学院生の青田雄太郎さんがリードして書いた自然体験と生態系保全行動の関係性に関する論文がPeople and Nature誌から公表されました(リンク)。生物多様性保全に向けた行動変容を引き起こすためには、自然体験の「頻度」だけでなく、「多様さ」を考慮することも重要かもしれません。

2024/01/23: 気候変動が人と自然のかかわりに及ぼす影響について議論した論文がNature Climate Change誌から公表されました(リンク)。気候変動は、人間の分布・行動の変化と生物の分布・行動の変化を介して、人と自然の相互作用に広範かつ長期的な影響を及ぼす恐れがあります。

2023/12/15: 自然体験と環境配慮行動の関係を調べたメタ解析論文がBiological Conservation誌から公表されました(リンク)。自然体験を豊富にする人は、様々な環境配慮行動をより頻繁に行うことが分かりました。

2023/11/09: 以前に学振PDで在籍していた内田健太さんがリードして書かれた野生動物の人慣れと生態系サービスに関するオピニオン論文がTrends in Ecology and Evolution誌から公表されました(リンク)。野生動物の人慣れは、生態系サービス・ディスサービスに広範な影響を及ぼすうることを論じた論文です。

2023/11/09: 以前に研究員で在籍していたJohn Evansさんがリードして書かれた論文がPeople and Nature誌から公表されました(リンク)。テキスト分析を行い、人と自然の相互作用に関する文献の「全景」を示した論文です。

2023/09/15: パリ=サクレー大学のJarivさんがリードして書かれた論文がFrontiers in Ecology and the Environment誌から公表されました(リンク)。保全問題に限らず、ある問題に対する世間の注目は一般的に一時的なもの(長続きしない)ですが、この一時性がなぜ生態系保全において重要なのかを論じた論文です。

2023/09/15: エクセター大学のGastonさんと一緒に書いた総説がCambridge Prisms: Extinction誌から公表されました(リンク)。内容はここ数年行ってきた人と自然の相互作用に関する共同研究の内容をまとめたものですが、自然体験が生物多様性保全にどのように資するのかを論じました。 

2023/09/15: 元同僚(現千葉大)の深野祐也 さんがリードして書かれた虫嫌いに関する論文がCuurent Opinion in Insect Science誌から公表されました(リンク)。

2023/09/15: 書籍『Reconnection: Fixing our Broken Relationship with Nature』の書評を書きました(リンク)。自然に対する精神的な「むすびつき」の重要性を理解するには良い本だと思いました。

2023/02/28: 自然体験頻度と生物多様性保全行動の間に正の関係があることを示した論文がConservation Letters誌から公開されました(リンク:オープンアクセスです)。自然とのかかわりを増やすことで、生物多様性保全に向けた行動変容を引き起こすことができるかもしれません。現在、この関係性にどれくらい一般性があるのかを検証すべく後続研究・分析を行っています。

2023/02/17: 人と自然のつながりに関する研究の系統的レビューを行い、ここ数十年の間に多くの国で精神的・物理的なつながりが減少していることを明らかにした論文がOne Earth誌から公開されました(リンク:オープンアクセスです)。一方で、自然とのつながりの変化の方向性や程度は文化・社会・環境の異なる国や地域ごとに大きく異なることも分かりました(現在この理由を明らかにするために国際比較研究を行っています)。

2023/01/25: 自然に対するネガティブな感情(Biophobia)が社会に拡がる過程を説明する新しいコンセプト「生物恐怖症の悪循環」を提唱した論文がTrends in Ecoloy and Evolution誌から公開されました(リンク:オープンアクセスです)。 野生生物に対する過剰な恐怖・嫌悪は人と自然の関わり合いに大きな影響を及ぼし、生物多様性保全を停滞させる根本要因の一つとして機能している恐れがあります。

2022/12/01: 積水ハウス株式会社と共同研究を開始しました(リンク)。積水ハウスが所有する大規模な庭の植栽データを活用して、家の庭における生物多様性とのかかわりが人の健康・幸福や自然に対する態度・行動とどのように関連するのかを調べます。

2022/11/10: マレーシアMonash大学のVoon-Ching Limさんらと行っている共同研究プロジェクトの成果がRoyal Society Open Science誌から出版されました(リンク)。アジアの複数のメガシティにおいて都市住民の自然やチョウに対する態度を調べた論文です。

2022/07/30: 当研究室のポスドクのEvansさんと久野さんがリードして書いた論文がEcology Letters誌から公開されました(リンク)。モニタリングサイト1000のデータを使って、日本全国の森林性甲虫類の時間的変化の程度を解析し、その程度の空間的差異に起因する要因を探索した論文です。

2022/07/29: シドニー大学のAmelieさんと行っている研究プロジェクト(ガーデニングと生物多様性保全)の第一弾の論文がJournal of Insect Conservation誌から公開されました(リンク)。ガーデニングと無脊椎動物に対する情動・認知態度の関係を探った論文です。うまく第二弾・三弾へと続いて欲しいものです。

2022/07/22: 人と自然の関わり合いの「負の側面」を議論した総説論文がPeople and Nature誌から公開されました(リンク)。 最近自然がもたらす健康便益が大きく注目されていますが、人と自然が良好な関係性を築くためには、自然がもたらす便益だけでなくコストも考慮する必要があると思います。

2022/03/08: 「種の社会的絶滅(societal ectinction of species)」という新たな概念を提唱した共同研究の論文がTrends in Ecology and Evolution誌から公開されました(リンク)。生物学的な絶滅だけではなく、社会的な絶滅を防ぐことは、生物多様性保全にとって重要な意味を持っています。

2021/12/14: 文部科学省科学技術・学術政策研究所が選定する「科学技術への顕著な貢献2021(ナイスステップな研究者)」 に選ばれました(リンク)。6年ほど前から始めた人と自然の相互作用に関する研究がこのように一つの形として評価され、大変喜ばしく思います。今後もこのテーマの研究をさらに発展させるべく、頑張ります。

2021/12/13: 人と自然の関係性にまつわる様々な(これまで全く別々の分野で発展してきた)理論や仮説を統合し、一つの概念的フレームワークとしてまとめた論文がNature Sustainability誌から公開されました(リンク)。「人と自然の関係性の科学」の可能性を示した論文です。興味のある方はぜひご覧ください。